ファインマンが考え出した方法では、この微分方程式を解く必要性がなかった。 その方法とは、電子が初期状態から終期状態までにたどる可能性があるすべての経路を、あるルールに従って足し合わせるというものであった。
従来のニュートン力学の世界では、素粒子は、われわれの日常世界での物体がそうであるように「決まった経路を通る」とされていた。
しかし、量子世界では、電子は宇宙を踊るように飛び回っているのであって、それ以外の経路についても考慮しなくてはならないのである。
電子が宇宙の彼方まで旅したり、時間的にジグザグにさかのぼったり、進んだりする経路を無視するわけにはいかないのである。 これらの経路をたどると、自然は何の制御も受けず、通常のルートを無視しているように見えるのである。
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