「線の旅人」とは、例えば「代数学で旅する者」である。しかして、代数学とは「数式」を使用して問題を解決する数学的手法である。
代数学は「数式を考える」ところから出発し、その第1方程式(数式)を解くことで、次の第2方程式が導かれ、第2方程式を解くことで、次の第3方程式が導かれ・・というように幾つかのステップを踏んで問題の最終解に至る。
代数学の特徴は「緻密で精確な解を得ることができる利点」があるものの、「問題を線として考えているため」第n方程式を間違えると、以降の解はすべて間違いとなり、最終解がとんでもなく見当違いのものになる危険性をはらんでいる。
これを旅の様相に置換えると、数式を考えることとは、例えば・・松本→新宿→江ノ島→小田原→箱根・・というように「旅程を立案する」ことであり、第n方程式を間違えるとは、第n通過点の旅程を間違えることである。旅程を間違えばとんでもない場所に行ってしまうことは日頃我々がよく経験することである。
「面の旅人」とは、例えば「幾何学で旅する者」である。しかして、幾何学とは「図形」を使用して問題を解決する数学的手法である。
幾何学は「図形を眺める」ところから出発し、その図形に幾つかの補助線を引いて、いっきに問題の最終解に至る。
幾何学の特徴は「緻密で精確な解を得ることができないという欠点」があるものの、「問題を面として眺めているため」最終解がとんでもなく見当違いとなる危険性からはまぬがれる。
これを旅の様相に置換えると、図形を眺めるとは「地図を眺める」ことであり、補助線を引くとは、その地図にルート線を引くことであり、そのルート線をたよりにして最終目的地への道を得ることである。
時として選択したルートによって旅程に変更が発生したとしても、最終目的地そのものには間違いなく行着くことができる。
以上は、数式を「考える」ことと、図形を「眺める」ことの本質的な差異である。
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