現代社会が発現するさまざまな問題をつぶさに眺めれば、そのどれもが内なる心的世界に関係していることが見えてくる。さらに考えれば、その原因が外なる物的世界の急速な進歩に、内なる心的世界が追いつかないことにあることが分かってくる。
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外なる物的世界は「押しボタン」ひとつでいかようにもなる「ハイテク世界」であるが、内なる心的世界は旧態依然たる「ローテク世界」である。心的世界を外部から都合良くコントロールできるような押しボタンなどはいまだ開発されていない。しいて言えば麻薬や覚醒剤などがあげられようが、それを押しボタンとするには、あまりに品質粗雑で危険極まりない。そもそもそれは違法である。
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物的世界をコントロールする押しボタンの開発は進歩した科学的ロジックを駆使すればそう難しいことではないが、心的世界をコントロールする押しボタンの開発はその開発手段が確立されていないだけにそう簡単ではない。
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以下の言葉は「心即理( 第935回)」を掲げた陽明学の祖である王陽明のものである。
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山中に立てこもっている敵を平らげるのはやさしいが、心の中の邪念に打ち勝つのはむずかしいという意味である。心中の賊をきれいさっぱり片づけることができれば、これこそが人に誇れる偉大な功績だとしたのである。 |
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