現在、統一理論に最も近いとされている論とは「超ひも理論」である。超ひも理論では10次元空間の中のひもの振動が宇宙のすべての物質とエネルギ、はたまた空間と時間まで生み出すとされている。世界の著名な物理学者の多くは超ひも理論こそが「統一理論」であると考えていが、ペンローズは「ひも理論は正しいはずがない」と考えている。彼は自他共に認めるプラトン主義者であり、科学者は真理を「発明」するのではなく、すでにあるものを「発見」するのだと考えている。真理には「美しさ」、「正しさ」、「明快さ」を感じさせる「何か」が備わっているものであって、超ひも理論にはその「何か」が欠けているというのである。確かに超ひも理論は量子論と相対論を数学的には矛盾なく説明してくれるが、現実空間の中で実験できるものでもなく、そもそも10次元のミクロのひもの振動が何を意味しているのかも不明である。ペンローズは超ひも理論は物理学者が「発明」したしろものだと言いたいのであろう。
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