未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
不確定性原理の探求(2)〜時間の不確定性
「不確定性原理の探求(1)〜量子の2重性(
第886回
)」では不確定原理に対する大きな視点の欠落について述べた。その探求はさらに続く。
次なる課題は量子の位置と運動量の2つを「同時に高い精度で確定」することはできずというときの「同時」という言葉である。「同時に量子の位置と運動量の2つを観測できない」、「同時に量子の粒子性と波動性を観測できない」というときの「同時」とは何を意味しているのであろう。
観測を単純に「目で見ること」として考えれば、2つの対象物に対して同時に焦点を合わせることは不可能である。細部に焦点を合わせれば全体はぼけてしまうし、全体に焦点を合わせれば細部がぼけてしまう。だが同時という制約を解除すれば、それは容易に可能となる。時をおいて別々に焦点を合わせれば、細部も全体も見ること(観測)は可能である。
つまり、不確定性原理の核心とは、この「同時」という時間における不確定性である。「時間とは何か」はこの「知的冒険エッセイ」で幾度となく論じてきたことであるが、いまだに確たるものを得るには至っていない。そもそも時間は存在するのかしないのか ・・ すでにそこにおいて不確定である。そのような不確定なパラメータ(係数)で記述された不確定性原理が不確定であることは、もとより当然なのかもしれない。ではかくなる不確定な時間で語られる「同時」とはいったい何を意味するのか ・・・ 。
不確定性原理の探求(3)〜多世界宇宙解釈 /
第888回
へ続く
2015.07.26
copyright © Squarenet