未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
宇宙へのアプローチ(3)〜時間か空間か?
ハイゼンベルク(ドイツ1901〜1976)の「不確定性原理」によれば、量子の「位置」と「運動量」の2つを同時に高い精度で確定することはできず、片方の精度を上げようとすれば、もう片方の精度が下がってしまう。
空間を時間で微分した刹那宇宙を「宇宙の位置」と考え、空間を時間で積分した連続宇宙(時空間)を「宇宙の運動量」と考えれば、不確定性原理の記述は「宇宙の位置と運動量の2つを同時に高い精度で確定することはできない」と変換される。
さらに宇宙の位置を「時間」と考え、宇宙の運動量を「空間」と考えれば、不確定性原理の記述は「宇宙の時間と空間の2つを同時に高い精度で確定することはできない」と変換される。
重複を避けるため詳細の記述は割愛するが、「
第379回
時空間の同一性」では、シュレーディンガー(オーストリア1887〜1961)の波動理論における観測問題を基にした「時間と空間の不確定性」を、また「
第681回
タイムシフトウィンドウ」では、私が開発した映像表示技術を基にした「時間と空間の不確定性」を、さらに「
第663回
風景の物語 1」、「
第664回
風景の物語 2」では、私の体験を基にした「時間と空間の不確定性」をそれぞれ視点を変えて述べている。
我々が住む時空間とは、まさにファインマンの「経路積分」が適用される宇宙である。上記した「時間と空間の不確定性」を省察するとき、そこにはファインマンが主張した「この宇宙はいろいろな出来事を時間の順序で並べるのは的はずれな世界であり、すべての経路を加算すれば実験者が観察する最終的な量子状態に至っているという世界であり、ルールに縛られない自由なプロセスが秩序となっている世界である」という予見の正当性が象出しているように私には観える。
宇宙へのアプローチ(4)〜線か面か?
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2015.01.19
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