Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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変わらないもの
 人類は悠久な歴史の中で、狩猟採集社会→農耕社会→工業社会→情報社会と生活スタイルを代えて生きてきた。 それはまた文明発展の経過でもあった。 狩猟採集社会に生きた人々は、次なる農耕社会がいかなる社会であるかを理解することができず、同様に、農耕社会に生きた人々は次なる工業社会を理解することができず、工業社会に生きた人々は次なる情報社会を理解することができない。 理解できるのは、それらの社会が経過した後のことである。 現代人は、工業社会から情報社会へと移行する過程の中に生きている。 情報社会が進んだ今となって、ようよう工業社会の実態がおぼろげながら見えてきたのである。 同様に、情報社会の実態もまた、次なる社会が進行した後に、理解されることになるであろう。
 幸か不幸か、我々は工業社会から情報社会へと移行する 「2つの社会」 に生きている。 現在進行中の情報社会は、未だ体験することがなかったものごとに満ちている。 それは 「戸惑い」 以外の何ものでもない。 だがその戸惑いは、農耕社会から工業社会に移行した人々が工業社会で体験したものと同じである。 時代の真相は、常にその時代が過ぎ去ってから理解されるのである。
 第1887回 「二律背反の社会〜可もなく不可もなく」、第1888回 「何もしないこと〜のこされた策」 は現在進行中の情報社会における 「戸惑いの様相」 を描いたものである。
 それらの 「戸惑いの真相」 は情報社会が過ぎ去って後に理解されるものであろう。 だが宇宙には、それらの社会変遷の胎動に関わりなく、永久不滅な 「根源的秩序」 が存在する。 第1892回 「エネルギ保存の法則〜何をどう生きても」 では、その根源的秩序を描いている。 何もかもが変わってしまう世界において、何も 「変わらないもの」 があることは、「大いなる救い」 であるとともに、「未来への希望」 でもある。 これがあれば、いかような戸惑いであっても、乗り越えて行けそうな気がするのである。

2024.04.24


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