未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
新たな地平を求めて(2)〜あなたあっての宇宙
「宇宙の構造とメカニズム」と題した中学生に向けた講演の中で「宇宙とは容器のような空間に物質が存在しているのではなく、物質が空間を発生させているのだ」と語った。 2003年のことである。
(物質が空間と時間を発生させる
第18項
参照)
前者は「空間があっての物質」であり、後者は「物質があっての空間」である。 空間と物質の主客は互いに逆である。 一般的には前者の考え方を採る人が大半であろうが、この考え方を採ると「宇宙の果て」と「時間の始まりと終わり」という人類が抱える永遠の謎(特異点)に直面してしまう。
後者の考え方を採った私は、宇宙に「大きさはなく」、時間は「流れない」とする考えに帰着した。 つまり、宇宙とは「仕組みという概念」であって、「大きさという概念」ではないとする宇宙モデルである。 この「宇宙モデル(
Pairpole宇宙モデル
)」では「宇宙の果て」や「時間の始まりと終わり」の謎(特異点)は曲がりなりにも解消している。
だがそのとき付言した「皆さんという物質的な存在があることで 皆さんの周りに 皆さんの時間と空間が 生まれているのです」という説明を、当時の中学生はいかに聴いたのであろうか?
したがって、探すべき新たな地平は、その地平(空間)を発生させている主体である「あなた自身の周りに」拓かれている。 童話「青い鳥」のように、幸せの青い鳥は「自らの窓辺にいる」のであって、「山のあなたの空遠くにいる」のではない。 「汝自身を知れ」とは古代ギリシアの格言であり、「灯台もと暗し」は日本古来の諺である。
新たな地平を求めて(3)〜犬も歩けば /
第962回
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2016.09.11
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