未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
新たな地平を求めて(3)〜犬も歩けば
「未来の発生(
第702回
)」では、シュレジンガーの波動理論における「観測問題」をさらに掘り下げ、「宇宙の発生」を視点を変えた「未来の発生」へと展開した。 「観測によって発生する宇宙」と「選択によって制作される未来」との強い相似性に着目したのである。
その相似性を等価原理を使って意味づけると、「新たな宇宙の制作とは何かを選択する」ことであり、「新たな未来の発生とは何かを観測する」ことであると変換される。 この認識転換は両者のアプローチに多大な示唆をもたらした。 巷間しばしば言われる「犬も歩けば棒に当たる」とは「出逢った棒(観測)による新たな未来の発生」を示唆していたのである。
未来は選択肢を考え、考えた選択肢を選択することによってのみ制作されるのではなく、この世界(宇宙)のどこかで(局所)何かを見つけても(観測)制作されうるのである。 つまり、犬は「出逢った棒によって未来(新たな地平)を見つけた」のである。
したがって、探すべき新たな地平は、思考をめぐらして未来の選択肢を考えるだけではなく、時には思考を停止し、犬のようにあとでなく津々浦々を歩き回ることも必要である。 路傍にたたずむ犬の眼差しは、あるいは「あなたの未来」を見据えているのかもしれない。
新たな地平を求めて(4)〜意識の地平 /
第963回
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2016.09.12
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