Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知のワンダーランドをゆく〜知的冒険エッセイから
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画期的な価値観
 現代社会の混乱は新たな社会出現に向けての過渡期的な現象であろう。政治システム、経済システム・教育システム等々、さまざまな社会システムが崩壊の危機にさらされているのは現代社会の根底に流れる潮流が大きく様変わりしたからに他ならない。この危機に昨日までの対応策をもってのぞんでも改善はおぼつかないであろう。潮流の変化は今までにはなかった根本的なものであって小手先では歯が立たないのである。
 有効策は「価値観」を変えることである。
 なぜならば、さまざまなシステムの裏にはそのシステムを社会に現出せしめた動機としての価値観が付随しているからである。民主主義というシステムには民主的という価値観の存在が不可欠である。その価値観があっての民主主義システムなのであって、もしその民主的という価値観が喪失すれば、システムである民主主義は一夜にして崩壊するであろう。かくなる視点で現代社会の様相を眺めれば、従来の価値観がこれほどまでに「揺らいでいる」時代はかってない。その価値観の土台の上に構築されている社会システムが揺らぐのは当然の帰結であろう。
 以上を省察することなく揺らいだシステムを修復しても根本的解決策とはならない。根本的解決策は土台である「揺らいだ価値観」を修復するところからしか得られないのである。つまり、今求められているものとは画期的なシステムではなく「画期的な価値観」なのである。
 では画期的な価値観とは何か ・・?
 物質的豊穣が満たされた現代、従来のような物質的欲求の充足に向けた価値観は輝きを失いつつある。今必要な価値観とは衆人が意気軒昂として目を輝かせるような価値観である。そのような価値観の創出はそう簡単ではない。だがその価値観が社会に現れなければ現代社会システムは坂道をころげ落ちるように衰退に向かうであろう。
 ローマ帝国の繁栄を支えた価値観は一日にしてはならなかった。だがそのローマ帝国でさえかくなる価値観の斜陽化とともに歴史の表舞台から去っていったのである。
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