知本の基となる知識や知恵は社会システムの中を飛び交う各種の「情報」を「読んで」、「聞いて」、「見て」、その意味を「考える」ことにより「集積」される。だがこれは知本の半面でしかない。優良知本とは、さらに集積された知識や知恵が強い思いに支えられた「意志力」によって統合されなければならない。それは陽明学の「知行合一の思想(知って行わざるは、知らぬと同じ)」なのであり、物事は「分っていても、することができなければ」意味がないのである。情報に基づいた知識や知恵がいかに集積されたとしても、実際にそれを行為として運用する強い意志力に支えられていなければ「優良知本」とは言えない。
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