私にとってみれば、それは軽井沢にある 「セゾン現代美術館」 を訪れてジョージ・シーガルの彫刻像に出逢うことで大森荘蔵の哲学を知ることに至り
「空間概念」 に関する重要な啓示を受ける縁となり、堀辰雄の小説 「風立ちぬ」 の舞台となった長野県富士見町にある旧結核療養所
「富士病棟」 を訪れたことが契機となって、軽井沢にある 「堀辰雄文学記念館」 でポール・ヴァレリーの “ Le vent se
leve, il faut tenter de vivre ” (風立ちぬ、いざ生きめやも) に出逢い 「時間概念」 に関する重要な啓示を受ける縁となった。
そしてそのポール・ヴァレリーが再び大森荘蔵の哲学に回帰し、ゼノンが提起した 「点時刻概念」 のパラドックスに収束するなどという
「縁のループ」 はいかにして可能であったのか?
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