未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
物理学と哲学の狭間~そのアプローチ方法とは
「健全なる精神は健全なる身体に宿る」 とはローマの詩人ユウェナーリスの 「風刺詩」 から出た句であるという。 精神と肉体は一つのものであって、肉体が健康であれば、精神もこれに伴って健康であることを描いている。 以下は
第1869回
「物質的社会から意識的社会への相転換」 からの抜粋である。
物質と意識の結びつきを研究した物理学者、ロジャー・ペンローズ(イギリス1931年~)の代表作 「皇帝の新しい心」 は発表されるやいなやセンセーショナルな論争を巻き起こした。 彼の理論は多分に荒削りではあるものの、もし彼の言うことが正しいとすれば、物理学の理論を一挙に統一する 「統一理論」 とともに、哲学の最難問とされる 「物質と意識の結びつき」 を解決する可能性を秘めている。
その末尾で私は 「皇帝の新しい心」 の論旨を以下のような問いに還元した。
意識に物質が宿るのか? それとも 物質に意識が宿るのか?
それはまた、冒頭のローマの詩人ユウェナーリスが描いた 「健全なる精神は健全なる身体に宿る」 の論旨と等価的に同意である。 従って、上記の問いは以下のように還元される。
精神に身体が宿るのか? それとも 身体に精神が宿るのか?
しかして
心に体が宿るのか? それとも 体に心が宿るのか?
「意識と物質の狭間」 は 「心と体の狭間」 でもある。 意識と物質の狭間は 「物理学的問題」 であり、心と体の狭間は 「哲学的問題」 である。 ロジャー・ペンローズの 「皇帝の新しい心」 が特徴的で革新的であるのは、その物理学と哲学にまつわる 「2つの難問」 を一挙に解決しようとした従来にはなかった 「アプローチ方法」 にある。
それはまた、
第1874回
「宇宙の心に思う」 で描いた宇宙の心への 「アプローチ方法」 にも通じている。 解決の道は思いもしなかったところに開かれているものである。 天恵以外の何ものでもない。
2024.02.27
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