Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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宇宙の心に思う
 22日の東京株式市場、日経平均株価は、バブル期の1989年12月29日につけた終値としての史上最高値を更新して 3万9098円68銭 まで上昇した。 ここにいたるまで 34年 の歳月が経過したことになる。 バブル崩壊後のかくなる停滞は 「失われた30年」 と呼ばれている。
 バブルはその渦中にいる人にとっては、それがバブルであることが自覚されず、自覚されるのは崩壊してのちのことであると言われる。 1億2000万人に及ぶ日本国民の頭脳をもってしても、バブル崩壊とその後の長きにわたる停滞を予期できなかったという事実は、人知によるいかなる計略や策略をもってしても、それらを回避できないことを物語っている。
 そうであれば、今回の株価高騰においても 「その轍を否定する」 にたる合理性は存在しない。 言えることは 34年前 のバブル崩壊は 「人知を超えたものであった」 という言い訳だけである。 言うなればそれは宇宙の内臓秩序の計らいであって、人知をもってどうこうできるものではないのである。 その計らいを西欧では 「神の拳」 と呼び、東洋では 「天の配剤」 と呼ぶ。 私はそれを 「宇宙の心」 と表現している。 宇宙の心が何なのかがわかれば、あるいは宇宙のかくなる計らいを解明できるのかもしれない。 だが相手は人知を超えた存在であって、アプローチする方法さえ定まらない。
 あえて方法はと問われれば、「宇宙の心に同化して成りきることができれば、あるいは、その心の断片らしきものにでも、めぐり逢うことができるかもしれない」 ということぐらいである。 だが、人間の浅知恵に依って出現した 「空騒ぎ」 に翻弄されているもろびとにとってみれば、宇宙の心へアプローチするなどという話は、浮世離れした 「遠い世界」 のことであって、見向きもされないに違いない。

2024.02.23


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