前回論じたごとく永久機関が実現できない理由は物理学の根源的法則である「エネルギ保存則」にある。この法則をかみ砕いていえば「A地点からB地点へ移動するために要するエネルギはいかなるルートをとっても同じである」というものである。例えばA地点から山の向こう側のB地点に行こうとした場合、山の頂を越えて行こうが山の麓を回って行こうが要するエネルギは同じである。これを経済学的な言い方に還元すれば「A時点からB時点に移行するために要するエネルギはいかなる政策をとっても同じである」と変換される。さらに分かり易く簡潔に表現すれば「いかなる政策も、あれが良ければこれが悪く、これが悪ければあれが良い」ということであって、「あれもこれも良いという政策はない」ということである。
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