自民党、安倍新政権が掲げる「アベノミクス」と呼ばれる経済政策の目玉はインフレターゲットを設定した積極的な金融緩和と国土強靱化計画と銘打った公共事業投資の拡大である。両政策とも日銀が所有する輪転機を高速回転させて円を大量に増刷することに特徴がある。景気は気からと言われるから、これらの政策が日本人の気分を転換させ景気回復に至ることも否定できないが、メカニズムの観点で眺めると少々不安が漂う。
それはこの経済政策が「永久機関メカニズム」に相似しているからである。ご存じのごとく、永久機関は物理学の「エネルギ保存則」から不可能であることが証明されている。それでもなお1年間に何件かは永久機関の特許申請がなされるほどの、技術者を魅了してやまない夢のエンジンメカニズムである。この日本の新たな試みが「大いなる徒労」におわるのか、はたまた未来に向けての「偉大な試金石」になるのか、世界は今、息をこらして見守っている。
試みの終局において、物理学の理論が経済学には適用できないことが証明されればいいのだが・・ただそれを願うのみである。
【 エネルギ保存則 】
エネルギは機械エネルギから電気エネルギに、電気エネルギから熱エネルギに、というように姿形が変わっても、変化の前後でそのエネルギの総和は一定に保たれるとする物理学における最も基本的な法則。 |