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Pairpole |時空の旅Squarefour暁光
Turn

科学哲学エッセイ / Pairpole (ペアポール)

 平成11年2月28日 初版第1刷発行
 著者 柳沢 健
 発行 創造庵
 定価 3,000円 (全345ページ)

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 20年にわたる思索活動で構築された4つの知的ツールを駆使し身の周りに広がる生活空間に潜在する不可思議な時空間の風景を描写した「知的冒険エッセイ」。

 科学哲学の学際をクロスオーバーして「宇宙の構造とメカニズム」の解明に挑む。


【 プロローグ 】

どうして我々人間だけが自然を、そして宇宙を理解し認識できるのであろうか・・?
                                              Albert Einstein

<4つの宇宙風景>

【 第 1 章 】 表象

“ 我々は時空間を光速で駆け抜ける ”

認識の原点/直観の原点/頭のわるい動物/虚構の論理/真理の提唱者/時間とは/時の性質/時間は動き/空間と物質のフラクタル/刹那/絵の中の時間/人生は一枚の写真/宇宙自然法則/基本数4/4と波/4は波の影/陰陽律・相補性/4次元宇宙と波動性の主と従/時代のドップラー効果/ありますといます/4次元世界の偶然性/記憶の実証性/相対と絶対/気の流れ/自然はエトランゼ/水清ければ魚住まず/自然は芸術を模倣する/形あるものと形なきもの/見えないもの/潜在意識と顕在意識/機械工学と電子工学/機械工学の姿/最善の策/作用と反作用/数と質/この国のかたち/現代経営事情/羅針盤/経営者の夢幻/世界は賭博場/生かさず殺さず/はやらないラーメン屋/最大の武器/真価は現れる/知る人ぞ知る企業/ファイリング/研究所/人の束ね/協調性と個性/経営の改善/ニュービジネスの創出/インターネットの世界/損益の相補性/人材価値の法則性/名医/所有とは/これから繁栄するビジネス/人間最後の所有/呼び名とイメージ/資産と負債/貨幣経済の破綻/いい仕事/物事の完成/事を成す/日本の商法/日本的経営の危機/赤信号みんなで渡れば命とり/規制緩和は楽市楽座/企業目的/政治目的/おかしな世界/突貫工事/物事の出発点/専制金主国家/公定歩合と日銀総裁/ボーダーレス社会/日本の姿/球形の荒野/細部は全体/世界の救済/頼りにならない言葉/私の自由/人生は過程/世の中のこと一杯のお茶にしかず/人は素質で走る/天命とは/決断の様式/勝者と敗者/生の目的/踏み絵の効用/適度な頭/善意の第三者/対処療法 1/対処療法 2/剛と柔/できる女とできる男/切り札の使い方/真の賢者/愛の本質/賭の本質/昔・今・未来/古語/戦後強くなったものは/国家意識/歴史家の切り札/人生は偶然か必然か/偶然と必然/運のエネルギ保存則/人生のエネルギ保存則/記憶に残る人々/もの食う人々/美しい女性/偉大な男/ダンディズム/真の自立者/施主は患者/価値の基準/永遠性の存立基盤/集団の狂気/凡百の存在/凡人は天才/人格の相補性/幸福方程式/日本人は菜の花/発想の転換/自縛/主体性なき現代人/後生大事の行き着く先は死のみ/死から見た生/生と死/余命幾ばくか/現代若者気質/人間の器/立場の違い/虚空にかかる


【 第 2 章 】 裏象

“ 宇宙にひとたび現れたものは永遠に存在する ”

人材は現れる/時間は経過する/女は尽くして死に、男は貢いで死ぬ/男が狩りをしないような村には住めない/離婚届けと結婚届け/売れないのは聴きたくないから/難波の商人/水は低きから高きには流れない/芋洗いに20年/120%の人生と80%の人生/時間切り売り業/父が始めて、息子が展開し、孫が完成させる/恐竜の骨発見/事業と家業/事業の規模/整理/仏造って魂入れず/急ぐ日本人/人が社会を創る/根本的間違い/本能と認識/欲望の抑制/都会と田舎/如何にあるべきか/光と時間/ホモ・サピエンス/現代人の行動科学/現代人の価値観/人類の特質/デモクラシーの原点/男は左に曲がり、女は右に曲がる/右回りと左回り/誤解の産物/晴耕雨読/遠くて届かない/進化論/アイコンタクト/逆と対偶/グローバルスタンダード/1日の違い/20世紀の位置づけ/三国時代の幕開け/天命の集合体/天の意志/役割の等価法則/役割の制御構造/人間の位置/あれとこれ/母の悟り/名は体を表さない/運動と形式・時間と空間・4と□/時間と空間/人間の存在/学問の限界/才能と経験/天才の価値/社会の相補性/いまだ木鶏になれず/宇宙の波動/目的と手段/歴史的場面構築/頭の中がもっと広い/下請立国、日本/長島は球を打つ/表を創るには、まず裏を創る/システムの時代/生活の単純化/自他/物質が空間を創る/空間と物質と時間/立場の発生/権威は在るのではなく与えるもの/もち時間/「□と4の発見」Squarefour理論の構築/「ハードのOS」Squarefour Hardware OSの構築/大量消費時代の終焉/利と義/経験と能力/巨いなる企て/先駆者/小さくなった地球/天の気、未だ来たらず/生き残った哺乳動物/便利さの飽和/広告の盲点/過去と未来/ミッション・インポシブル/大胆かつ細心/考える人/狂/現実家と空想家/計算が合わない/技術基盤の喪失/闘いを忘れた国/刹那の威力/再び、自他/山奥で咲く花/狂った猿/宇宙メカニズムの要諦/格と能/うまいものを後にとっておく日本人/究極の財産は考える頭脳と思う心


【 第 3 章 】 断象

“ 我々は生まれ続け、生き続け、死に続ける ”

宇宙の断象/顕微鏡世界・望遠鏡世界・コンピュータ世界/思考ツール/Squarefour/ポアンカレ循環/ニュートン力学/超ひも理論/熱力学の第2法則/陰陽律/気の流れと波動/連続する時空/ダーウィンの進化論/自己組織化/熱力学と力学/相対性理論/光電効果/光の二重性/宇宙の対称性/対称性と波動性/右ねじの意味/人間の思考の方向性/電磁誘導/質量と引力/光・磁気・質量/宇宙は完全か?、不完全か?/エントロピーの減少/因果律/ブラウン運動/Wavecoil理論の構築/形状論/回転と波動/Wavecoilと人間ひも/社会の中の波動性/共時性/明在系と暗在系/人間の深層と宇宙の深層/文字の表象/構造と運動と目的/誘導現象/音楽と波動/フォービズムとキュービズム/特異点問題/安定領域と不安定領域/宇宙認識の遍歴/宇宙的会話/4つの力/創造的宇宙と進化論的宇宙/過去物語/未来物語/現在物語/思考の運動法則/文学理論/生物の寿命/人類の目的/存在と時間/人間原理/人間原理の疑問/時間の矢、熱力学の矢、生命の矢、思考の矢/偶然(確率論)と必然(決定論)/空海の悟り/信長の決断/利休の世界/秀吉と利休/三島由紀夫の行動と思考/出来事の発生/情報化社会/ふと発生する宇宙/考えることと思うこと/思いの構造


【 第 4 章 】 真象

“ 存在の本質、それはペアポールである ”

量子論概説/色彩のエネルギ/物質の二重性/アロサの黒婦人/平行宇宙/波動関数と時間の矢/決定論的実在の破綻/時空のゆらぎ/縄文と弥生/プロファイリング/過去との共鳴/場の理論/行為と認識/認識者の破綻/知行合一/知行不一致/松陰の宇宙/次なる宇宙へ/逆転の時代/一体的宇宙/黒沢明の宇宙/寺山修司の宇宙(天井桟敷)/象/因果律とエネルギ保存則/唯物と唯識の構図/刹那的宇宙/思考ツールの等価性/Pairpole理論の構築


【 エピローグ 】

なぜいったい、存在者があるのか、そして、むしろ無があるのではないのか・・?
                                          Martin Heidegger



「Pairpole (ペアポール)」刊行にあたり

 20世紀を終えようとする現在、人類は有史以来の転換点を迎えている。この転換点とは人類の繁栄を築いた因果律の飽和点である。人類のこれからの目標は過去数千年の長きにわたり鉄壁に築かれたこの因果律の分厚い壁の突破である。

 この突破の手がかりは物理学で言えば量子論から生まれた各理論であり、熱力学で言えばイリヤ・プリゴジンの提唱した非平衡熱力学の散逸構造理論(自己組織化)であり、心理学で言えばユングの提唱した目的論(共時性)であり、その他複雑系を扱うカオス理論等々の展開と可能性であろう。これらの研究の根底にはどれも超因果律の直観が横たわっている。この原因と結果で構成されない論理は従来の原因と結果で構成された因果律に慣れ親しみ価値を構築してきた人類には大きな「とまどい」であろう。現在進行する情報化社会へのシステム変換はその序章である。

 人類がたどってきた狩猟採集社会、農耕社会、工業社会の各システムの根幹はすべて形と重さのある物体の性質、機能、価値を追求する「唯物的システム」であった。しかし、情報化社会の最も異なる点は形も重さもない情報を追求するところにある。ここで言う情報とは認識であり、知識であり、精神であり、心であり、唯識という言葉にまとめられるものすべてを含む代名詞である。つまり、今後構築される社会の中心システムは「唯識的システム」である。人類はこれまでの唯物的システムの構築において大成功を収めた。今まで人類が構築したさまざまな学問や構築された理論はその成功を支えた強力な「思考ツール」である。しかし、そのどれもがこの唯物的システムの中心対象である物体の性質、機能、価値を説明する基本法則であった。次なる社会の唯識的システムの中心対象は識体の性質、機能、価値を説明する基本法則である。姿形も重さもない認識や知識や精神や心を説明する基本法則である。唯物と唯識は本文でも述べたように一体的なものである。

 唯物的基本法則が物体の外観を述べたものであるのに対し、唯識的基本法則は物体の内観を述べるものである。

 縄文と弥生の項で明らかにしたように、かって人類はこの物体の内観をとらえていた。しかし、物体の外観をとらえる因果律法則を獲得するや人類はこの物体の外観的な価値追求に奔走し内観的価値を置き去りにしてしまったのである。人類は20世紀を終えるこの時空に至ってようようそのことに気づきだしたのである。現在世界を取り巻く経済システムの混乱、社会システムの混乱、価値基準の混乱がそのことをよく物語っている。因果律とエネルギ保存則は等価法則であることは本文で述べた。つまり、原因というエネルギは結果というエネルギに転化する。これで考えれば従来の社会システムの基本エネルギであった物的外観エネルギという原因エネルギは物的内観エネルギという結果エネルギに転化するということである。この大きなエネルギ転化を理解しなければ今後展開するであろう情報化社会のシステムに対応することはできない。それは石油という物的外観エネルギから熱という物的内観エネルギに転化するようなものである。エネルギ保存則はこの転化の前後でエネルギ量は一定に保たれるという法則である。ゆえに社会システムの転換により発生するこの大きな基本エネルギの転換においてもエネルギ量は一定に保たれている。エネルギが増減したり消滅するわけではない。石油から熱に変わるようにただ姿形が変わるだけである。これは最も忘れてはならない重要なポイントである。これを理解し人類自身がこのエネルギ転化に応じた変身ができれば転化エネルギを有効に運用することは可能である。いま世相で叫ばれる「発想の転換」とはまさにこの「人類の変身」の意味である。

 この稿で私はこの転換を訴え画したつもりである。それができたか否かは皆さんの評価と後世の実展開を待つしか他に手だてがない。しかし、私自身のもてる知恵と意欲のすべてを駆使し思考したつもりである。その結果はまた私自身の最も期待するものでもある。それを支えたものは工学メカニズムの開発で養った「開拓者魂」である。

 世には大別して「開拓者」と「耕作者」という2種類の人間分類がある。開拓者とは自らの意志で山に入り木を切り倒し開墾し田畑を創る者であり、耕作者とは開墾された田畑で種を蒔き水をやり作物を作る者である。この「創る者」と「作る者」の違いは思考と行動の姿勢において180度異なる。「創るとは無から有を生む者」であり「作るとは有から有を生む者」である。日本の産業発展の歴史を考えた時、この創る者と作る者の違いが歴然と現れてくる。私が社会に出た頃の期待される人間像とは世界のホンダを創始した本田宗一郎氏であり、世界のソニーを創始した井深大氏などであった。本田さんはナッパ服を着て油まみれになり世界一のエンジンを創ろうとしていたし、井深さんはプレハブ工場で世界一小さいトランジスタラジオを創ろうとしていた。その頃の日本の社会環境は現在とは比べようもなく不遇であり貧しかった。勤めるのに職はなく給料の遅配はまれではなく生活は苦しかった。だが、その頃の日本人はそんな生活の不安感などは眼中になく危険も省みず夢と情熱だけで未知なる空間に挑戦していた。まさにサツマイモをかじりながら昼夜を忘れ、創ることに狂奔していたのである。その頃の日本人はすべてが開拓者であった。しかし、その後、日本人は耕作者の道を歩みだす。開拓者の開墾した田畑で種を蒔き水をやり作物を育て収穫を得る。結果、日本はまれにみる豊かな国となったのである。それが現在我々が眺める日本の風景である。

 しかし、この長く続いた豊かな社会はいつしか開拓者の精神を喪失してきた。現在の日本は未曾有の不況にあえいでいる。仕事がないのである。それは本文に書いたように、いつしか日本は「下請立国」になってしまったのである。一億総じて注文待ちの状態である。この状況は開拓者がいなくなり耕作者だけの社会では必然の帰結である。有から有を生む耕作者の姿勢は基本的に下請け姿勢であり注文待ちの姿勢なのである。日本人は今、危機感を持ち始めている。しかし、その危機感とは未知に挑戦する危険に対する危機感ではなく、今までの安定と平穏な生活が失われるのではないかという安定基盤の喪失に対する脅迫観念的危機感である。言い換えれば会社が倒産する恐怖であり、職を失う恐怖であり、給料がなくなる恐怖である。現代人の多くはこの脅迫観念的恐怖に突き動かされて行動している。言うなれば「受動的危機感」である。これはかっての日本人にはみられなかった危機感であり、安定と平穏と豊かさを享受してきた者のみが抱く危機感でもある。かって開拓者であった日本人の危機感とは不安定と混乱と貧しさから立ち上がった、言うなれば「能動的危機感」であった。

 安定を求めると不安定になり、不安定を求めると安定になるとはこの稿の述べるところである。

 私も若い頃にはロッククライミングをしていたが、岩壁で落下しないためには体をできるだけ壁面から離すことである。つまり、体を空中に投げ出すのである。これにより支持点である両足に重心が移動し落下しにくくなる。しかし、一般には恐怖感のあまり壁面にしがみつこうとする、すると逆に重心が壁面に移動し落下し易くなる。これと同様なメカニズムがこれら2つの構図に作用する。生きようとして生きれず。死のうとして死ねず。知に偏して解決できず等々。これらの構図はすべてこれを物語る。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」のことわざのごとく、身を救うためには身を捨てることこそ肝要である。現代日本人が安定を求める限り不安定は続く。政府の言う「ソフトランデング」とはまさに安定を求め不安定になる方策でもある。日本が真に再び安定路線に回帰するためには安定に対する脅迫観念的希求から訣別し、不安定をものともせずに挑戦する開拓者になる決心をした時であろう。それはアメリカの繁栄がヨーロッパから移住してきた貧しき人々の西へ西への幌馬車の隊列と夢に燃えて明日に賭けた開拓者としてのフロンテアスピリットを基盤とすることを考えれば了解されるであろう。しかし、養鶏場の鶏が安定に満ち住みごこちのよい鶏小屋の扉を自らの意志で開けて寒風吹きすさぶ荒野に出て行くことは言うは易し行うは難しである。だがそれに耐え100mも歩けば自然野菜の宝庫が横たわっているのであるが・・・。

 私は現在までずっと開拓者の道を歩んできた。それはつらく困難な道ではあったが感動と喜びの花畑に満ちた道でもあった。その開拓者魂の真骨頂がこの著作であろう。一介の技術者が挑むにはあまりに大胆で身の程を知らぬ暴挙、一匹の蟻が巨大な象に挑む姿である。だが「一寸の虫にも五分の魂」の例えのごとく、我、開拓者魂死しても止まずの心意気は気宇壮大である。

 これを書き終えた今、私の精神は充実しており、また限りなく静かでもある。それはかって幼き私が見上げた寒風が吹き抜け雲一点ない碧空の蕭条たる風景である。
                                                   1998.11.28 著者


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