以上をふまえて今回の騒動を考えれば構図は明確である。つまり、事の順位はSTAP現象があっての論文であって、論文があってのSTAP現象ではない。論文は起きたSTAP現象を説明するものでしかない。よしんば完璧な論文が書かれたとしても、それをもってSTAP現象の存在が必ずしも証明されたわけではない。理研の調査報告は事を急ぐあまり、視野の狭窄に陥り、現象と論文の順位を逆転させてしまったのではあるまいか。だからといって小保方さんの研究姿勢や論文記述方法が容認されるものではないが、かくなる調査は「STAP現象が真に起きたのか」を含めて同時に行うべきであって、現象をさておいて論文の不手際をあれこれあげつらってみても結果は不毛に帰すのみである。
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