生きるのは「今の今」という刹那の宇宙であるが、人間が他の動物と異なるのは未来に向けた夢や希望がなければ生きられないことである。この夢や希望が何であるかを考えなくとも、すでにあるうちは人間は幸福である。だがこれがなくなってくると、生きるに必要な空気がなくなってきたように苦しくなる。人間が本当に生きるのはここからである。もし人間に必要な能力があるとするならば、この夢や希望を持ち続けることができる力であり、もし優れた「人生の企画書」というものがあるとするならば、個々人自らが紡ぎ出した「手作り」の夢や希望に裏打ちされているものであることだけは間違いない。
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