世論調査における安倍政権に期待する政策の第1位は「経済の回復と成長」とする民意は終局において自虐的な帰結に至る。なぜなら経済が回復し成長しさえすれば、雇用が回復するのかどうかはわからない。経済は経済的合理性で運営されているのである。それは経済的利益の最大化が目的であって、雇用の拡大が目的ではない。換言すれば、雇用の拡大は手段であって、経済的合理性に合致する場合においてのみ達成されるものである。雇用の拡大より他に効果的な手段(例えばコンピュータ化や機械化等々)があれば達成されないであろう。どうしても雇用の拡大を目的とするならば、経済的合理性を手段化することである。雇用の拡大のためには経済的利益を犠牲にするという政策であるが、このような政策が現実的に可能かどうかは疑問である。なぜなら経済的合理性は現代社会の中では揺らぐことなき絶対的基準となっているからである。しかしながら、経済的合理性を絶対的基準として国家運営を行ってきた先進各国は、今さまざまな矛盾を露呈、崩壊の危機に瀕している。
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