未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知のワンダーランドをゆく〜知的冒険エッセイから
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日本画と洋画の「Pairpole」
日本画と洋画の絵画手法は「Pairpole」である。
日本画は洋画のように何度も上塗りができない。そのため描くにあたっては準備に大半の時間が費やされる。この長い準備の時間の後に一瞬に現れる「刹那宇宙」を描きとる。
本質的に日本画は筆を動かしている時には描いてはおらず、筆を置いている時に描いている。
他方、洋画は何度も上塗りが可能である。そのため描くにあたっては準備なしでも描きだすことが可能である。描くための大半の時間はその何度かにわたる上塗りの試行錯誤に費やされる。この長い連続した上塗り作業の時間の中に現れる「連続宇宙」を描きとる。
本質的に洋画は筆を動かしている時に描いているのであり、筆を置いている時には描いていない。
日本の伝統が「刹那」を尊ぶのに対して、西欧の伝統が「連続」を尊ぶ所以は、このような絵画手法の違いにも表象しているのである。それは連続宇宙に象出する「因果律認識を基本とする分析的な科学的合理主義」を重視する西欧文化と、刹那宇宙に象出する「超因果律認識を基本とする統合的な哲学的自然主義」を重視する東洋文化の異なりであり、文明論的な「
Pairpole宇宙
」の構造である。
文 /
柳沢 健
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