上信越自動車道、信濃町ICを越えると長野県から新潟県に入る。妙高高原ICを降り、西方に山麓を走ると、ほどなく妙高高原、池ノ平に至る。正面に標高 2,454mの妙高山が秋晴れの空にかすんでいる。妙高山は活火山であり、新潟県では越後富士とも呼ばれ、長野県では北信五岳(飯縄山、戸隠山、黒姫山 、妙高山、斑尾山の5つの独立峰の総称)のひとつに数えられている。地質学的には、戸隠山以外は第四紀のほぼ同時期に活動した火山群に属するという。
穏やかな陽射しに照らされた池ノ平温泉スキー場のゲレンデにカメラを据えて、仰ぎ見るように撮った妙高山には、いまだ原始の息吹が感じられた。それはまた、戦国の世、この地を駆け抜けた上杉謙信の姿を彷彿とさせる風景でもあった。毘沙門天の生まれかわりと評された軍神、謙信は、この山裾を、宿敵武田信玄との決戦の地、信濃善光寺平に位置する「川中島」に向けて、軍を進めていったのである。
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