それから幾度か訪れて来てはいたが思うように開花の時期と一致せず満たされぬ歳月を繰り返していた。
どうやら今日は天の折節に恵まれたようである。 余里の谷合の入り口にあるいつもの駐車場に車を入れようとすると、誘導の係員から手旗で谷合を先に行くよう促された。
怪訝な思いとともに先行車両の後をついていく。 どうやら坂道を谷合深く遡上していくようである。 やがて道も細くなり行き止まりとなった。
だがあろうことか、そこが 「花桃の里」 であった。 隠されるように谷間に横たわる村は 「邑」 という字をあてたいような桃源郷の雰囲気を漂わせて迎えてくれた。
「世界中でいちばんきれいな2週間」 とは実にこのことであったのである。
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