信州ベスト紀行セレクション
遺跡にて(7)
Backward
|
Forward
金生遺跡 / 山梨県北杜市大泉町
祈りのかたち
金生遺跡は縄文時代の集落跡や祭祀施設、中世の城館跡や集落跡が複合した遺跡である。 八ヶ岳南麓の尾根上、標高760〜780mに位置する。 八ヶ岳山麓は縄文時代の遺跡が濃密に分布する地域であるとともに富士山や奥秩父連山等々、後世に信仰の対象となった山々を望むことができる。 気候が寒冷化し遺跡数が減った縄文後晩期の遺跡であるという。
遺跡から北に向かって数百メートルの距離に位置する北杜市考古資料館で開催されていた 「北杜の土偶〜うつりゆく祈りのかたち〜」 を見学した後、山麓の畑中を駆け下って訪れた金生遺跡には人影はなかった。 曇り空の少々肌寒さを感じる日和では無理ないところであろう。 八ヶ岳の高峰はたなびく畑焼きの煙の彼方にぼんやりと眺めることができた。 西には甲斐駒ヶ岳が眼前に障壁のように聳えている。 晴れていれば南には富士山の雄姿も望めることであろう。
復元住居と配石遺構の間を逍遙しながらここに生きた縄文の人々はいったい 「何を祈った」 のであろうか ・・ おびただしい 「祈りの土偶」 を見たあとではことさらにそのことを思った。 とりまく時空はあたかも眠っているかのごとく静まりかえっている。
2015.10
|
セレクションインデックス
|
copyright © Squarenet