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未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事

信州つれづれ紀行 / 時空の旅
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万治の石仏 / 長野県諏訪郡下諏訪町
地異の空間
 この石仏に初めて拝顔したのは2009年8月のことであった。 それは 「信州つれづれ紀行」 の記念すべき 第1回目 として巻頭に掲載されている。 (第 001回 「一陣の風、再び」 )
 それから12年の歳月が経過したことになる。 付近の様相は変わってしまったが石仏だけは微塵も変わることなく飄々とした顔立ちで静かに鎮座していた。 万治3年(1660年)に作られた石仏からすればそんな歳月などは刹那のことであったに違いない。
 石仏の由来を読むと、明暦3年(1657年)、諏訪高島藩三代藩主忠晴が、諏訪大社下社春宮に遺石の大鳥居を奉納しようとした時のこと、命を受けた石工がこの地にあった大きな石を用いようとノミを打ち入れたおり、はからずもその石から血が流れ出た。 驚き恐れた石工は大鳥居の造作を止め、あらためてこの不思議な石に阿弥陀様を刻み、霊を納めながら建立されたとある。 またお参りの仕方も書き添えられていて以下のようであった。
(1)正面で一礼し、手を合わせて「よろずおさまりますように」と心で念じる
(2)石仏の周りを願い事を心で唱えながら時計回りに三周する
(3)正面に戻り「よろずおさめました」と唱えてから一礼する
 私も礼式に則してお参りをしてその穏やかな尊顔をしばしながめたあとその 「地異の空間」 に別れを告げた。

2021.02


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