人はその人生観において、過去は絶対的に変更不能ということを信じて疑わない。
ゆえに過去の失敗は取り返しがつかない。 だが 「人間万事塞翁が馬」 という諺のごとく、その失敗があったがゆえに、未来において何事か成功したとき、過去の失敗は取り返しがつかないどころか
「必要不可欠な失敗」 ということになる。 つまり、未来に成す何事かに依って、過去に為した何事かを変更しうる。 過去が未来において変更可能であるとすれば、未来の意味は大分変わってくる。
可能性に賭ける人生とは、この未来を原因化する人生である。 9回裏2アウト満塁で3点差、ここでホームランを打てば、過去の失敗は成功に転化する。
この一発逆転を目指してヒーローはバッターボックスに入るのである。 勝負は下駄を履くまでわからないのであって、物事は終わりよければすべてよしなのである。
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