論考は30年程も前のものであるが、論旨は今も過不足なく展開され、八方行き詰まってしまった現代社会への警告に満ちている。
縄文と弥生の狭間にあった断裂とは、言うなれば 「自然から人工への断裂」 であり、「有機的人間主義から無機的道具主義への断裂」
であり ・・ およそ人間としての根本を一変させてしまう断裂であった。 自然に宿っていた魂は次々と死滅し、神は何処かへと消えてしまった。
それはまさに 「空前の歴史ドラマ」 であったに違いない。 人間にとってこれほどの大事件は有史に遡っても他に類例を見ることはできないであろう。
我々はそこで 「何を得て何を失ったのか」。 今を生きる現代人ひとりひとりに向かってその 「究極の問い」 の帰結が求められているのである。
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