Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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時空を操る〜陰陽師、安倍晴明
 臨界に達しようとするかのような現代社会の騒擾と騒乱、混乱と混迷。 有効な策を打ち出せる者が現れる兆しは未だない。 古き世に活躍した 「陰陽師」 はこれらの難局を陰陽五行思想に基づいた陰陽道を駆使して鎮めた。 その存在を現代風に表現すれば、学術と占いを両立させてさまざまな現象を解決するテクノクラートとでも表現すればいいであろうか? ちなみに私は陰陽師のことを自らの 「ペアポール宇宙モデル」 に擬えて 「ペアポールマイスタ」 と呼んでいる。
 陰陽師が駆使する術は 「時空を操る」 大いなる秘術である。 だがこの秘術が効力を発揮するのは術を使う者自身が 「自らの世界」 をいささかも 「偽らない場合」 においてのみである。 なぜなら現代社会が遭遇している混乱の臨界は、第1659回 「虚と実の狭間」 で描いたごとく 「現実の世界」 と創作された 「架空の世界」 の狭間が曖昧模糊となってしまったことで 「嘘と誠の境界」 さえも判然としなくなってしまったことに起因しているからに他ならない。 自らの世界が嘘か誠かさえ分からなくなってしまってはもはや時空を操るなど到底にして不可能な所業である。 嘘の世界を土台にした大統領が、しかして政治家が有効に時空を操れない状況がそのことを如実に物語っている。
 陰陽師をかくこのように有名にしたのは歴代陰陽師の中でも群を抜いた天才と謳われた 「安倍晴明」 に依るところ大であろう。 窮まった昨今の世相を鑑みるとき 「安倍晴明の再来」 を願うのは私だけではあるまい。

2022.08.16


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