架空の場面が増加して現実の場面から現実感が喪失していくに従い 「虚と実の乖離」 はますます大きくなっていく。
巷間。 真っ赤な嘘が横行するようになった原因もまたこのあたりにある。 明らかに偽りであっても平気で正当性を強弁する社会はけして褒められたものではないが、現代では相応の拒否感が感じられない。
現実の世界と創作された架空の世界の見分けが曖昧になるにつれて、「虚と実の狭間」 も模糊としたものになり、結果として 「嘘と誠の境界」
さえも判然としなくなってしまったのである。 それはまたエントロピが増大した社会の特徴でもある。 今や社会は複雑系を扱うカオス理論等々で語られる
「確率論的世界」 へと変貌をとげようとしているかのようにみえる。
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