Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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相対性理論とエネルギ保存則
 アインシュタインの相対性理論が述べる質量とエネルギの等価変換式 「 E=mc2 」 がエネルギ保存則(質量保存則)を示していることは 前回 述べた。 ただ 「 E=mc2 」 はそれにとどまらず、宇宙に存在する物質(m)が光速度で移動していることも示している。 ( 第667回 「時は流れず〜相対性理論が意味するもの」 を参照 ) 要点を抜粋すると以下のようになる。
 「 E=mc2 」 をニュートンの運動方程式として考え、宇宙を大きな 「宇宙船」 と考えれば、我々はその宇宙船に乗って、いずれの方向かは不明であるが 「光速度で飛行している」 ことを示している。 さらに相対性理論が正しければ、物体の速度が光速に近づくにつれて時間はゆっくり進み、光速に達すると 「時間は停止」 してしまう。 つまり、我々の乗った宇宙船は光速度で飛行しているわけであるから 「宇宙船内の時間は停止している」 ことになる。 これが 「時は流れず」 とした 「私の根拠」 のひとつである。 光速度飛行している宇宙船に乗っている我々にスピード感がないのは、宇宙船の移動が 「等速度運動」 のためである。 ニュートンの運動方程式では、物体は外部から力を加えない限り、静止を続けるか、等速度運動を続けることを規定している。 力を加えると物体に加速度が生じ、物体は加速するか、減速する。 我々が感じるスピード感とはこの加速度の変化であって、加速度がない 「等速度運動」 とは、本質的には 「静止状態」 と変わりがない。 ただ異なるのは等速度運動を続ける物体(ここでは宇宙船)が運動エネルギをもっていることである。 その運動エネルギは 「慣性エネルギ」 と呼ばれる。 「 E=mc2 」 はこの慣性エネルギでもある。 その莫大な大きさを、我々は一般に物質がもつ 「核エネルギ」 として、原子爆弾の爆発力をもって実感しているが、物質がもつ 「慣性エネルギ」 として、例えば重さ 1kg の石を、光速度 30万km / s (1秒間で地球 7回半する速度) で壁に衝突させた破壊力をもって実感することができる。 さらに我々の乗る宇宙船(宇宙)が等速度運動を続けることは宇宙船(宇宙)には外部から力が作用していないことを物語っている。 それはまた物理学で最も基本的な法則とされる 「エネルギ保存則」 が宇宙船(宇宙)の内部で成立していることを示している。 いうなれば我々が搭乗している宇宙船(宇宙)は 「孤立無援」 の状態で飛行しているのである。
 では、宇宙が 「孤立無援で存在する意味」 とは何であろうか?

2022.06.07


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