未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
格差社会とエネルギ保存則
私は 「エネルギ保存則(エネルギ保存の法則)」 が宇宙で最も基本的な物理法則であると考えている。 「宇宙で最も」 が大げさと言うのであれば、少なくとも 「地球で最も」 と言い直してもいい。
エネルギ保存則とは、エネルギがある形態から他の形態へと移行してもその前後でエネルギの総量は常に一定不変であるという法則である。 力学的なエネルギ保存則が確立された後、熱現象も含めた熱力学の第一法則へと展開され、さらには、音・光・電磁気・化学変化・原子核反応等へと拡張され、あらゆる自然現象を支配する基礎法則となった。 相対性理論が述べる質量とエネルギの等価変換式 「 E=mc
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」 は、エネルギ保存則と質量保存則が統一されたものとみることもできる。
分かり易い説明を用いれば、A地点からB地点へ行くに際して、どのようなルートを通っても要するエネルギは同じであるというもの。 あるいは、いかなる活動をしても達成までに要するエネルギは手段や方法に関わらず同じというもの。 あるいは、「黙阿弥」 から出発した黙阿弥の人生は、「元の黙阿弥」 に帰すというもの。 あるいは、この地球上では何をやっても要するエネルギは同じというもの。 等々。
こう考えてくると参加者の儲けと損の総和はゼロとなる 「ゼロサム理論」 もまたエネルギ保存則の変形のようにみえてくる。 人間はゼロから生まれてゼロに帰するのであるから如何なる生き方をしてもその違いに差はなく最後はゼロに集束することになる。 世は 「格差社会」 と呼ばれているが、それはエネルギに変換できない 「気分」 の問題であって、物理的にはその差はないことになる。
2022.06.06
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