Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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刹那宇宙と連続宇宙
 では過去も未来もない現在だけで構成された 「私の世界」 はどこにあるのか? 言わずもがな、それは今の今、目の前にする 「ここ」 である。 ペアポール宇宙モデルで言えば、時空間を時間軸に垂直に断面した空間、即ち 「刹那宇宙」 である。 刹那宇宙では時間が遮断されているため時間経過に従って生起する 「因果律」 が成立しない。 物事は理由もなく偶然に生起する。 心理学者ユングがとらえた共時性に支配された世界である。
 では過去・現在・未来で構成された 「全体世界」 はどこにあるのか? ペアポール宇宙モデルで言えば、時空間を時間軸に沿って断面した空間、即ち 「連続宇宙」 である。 連続宇宙では時間が継続するため時間経過に従って生起する 「因果律」 が成立している。 物事は理由をもって必然に生起する。 「私の世界」 が自覚される前に見えている 「全体世界」 とはこの連続宇宙のことである。
 刹那宇宙(私の世界)に生きている人には連続宇宙(全体世界)が見えず、連続宇宙に生きている人には刹那宇宙が見えない。 刹那宇宙(私の世界)に生きている人には物事の生起は偶然であり、連続宇宙(全体世界)に生きている人には物事の生起は必然である。
 だが宇宙には過去・現在・未来と時間が流れる 「線形時間」 が存在しないという 「時は流れず」 の視点で考える私からすれば、連続宇宙(全体世界)は意識場の中に構築した 「仮想世界」 であって、実在する宇宙ではない。 刹那宇宙こそが物質場の中に構築された 「現実世界」 であって、実在する宇宙である。 これらの様相は 「軌跡のない日々」 で描いている。 過去も未来もない現在だけで構成された 「私の世界」 に生きるとは 「いかなることか」 をイメージ願えれば幸いである。

2021.06.12


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