未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
繁栄の代償
即身の秘術が考えることを排した 「信じる者は救われる」 であるとすれば、人間は救い難き存在である。 なぜなら人間の最も優れた資質が 「考える」 ところにあるからに他ならない。 地球上における 「生きとし生けるもの」 が為しえなかった大繁栄は考える資質をもった人間にしてはじめて達成されたものであろう。 だがそれゆえに 「考えることの弊害」 もまた応分に膨大であって、大繁栄の裏には大衰退が隠されていることは 「
Pairpole 宇宙論
」 の語るところである。 人間以外の生きものが 易々 と至れる即身に、人間がなかなか至れない理由はあるいはこのあたりにあるのかもしれない。
人間以外の 生きとし生けるもの が、人間よりも劣る者であって、可哀想な存在であるなどと誰が決めたのか? 事の真相は逆で、人間こそが、劣る者であって、可哀想な存在なのではないのか? それをいったい誰が否定できるというのか? それが 「繁栄の代償」 というのであれば、人間は甘んじてその 「衰退のつぐない」 を引き受けなければならない。
2020.06.26
copyright © Squarenet