Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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うらやましいかぎり
 第1257回 「世界は開かれている」 で述べた 「いかにすれば意識は開放されるのか」 に対する 「取り囲む世界が常に開かれていることを忘れずいること」 という解答は弘法大師空海が目指した想像と現実をひとつに融合する 「即身」 への過程である。
 情報化社会では意識を閉塞させてしまう巨大情報システムの網の目が縦横無尽に張りめぐらされている。 その影響を受けない者はいない。 ともすれば知らず意識は閉塞してしまう。 回避するためには 第1258回 で述べたノーベル賞を受賞した本庶教授のように自らの目と頭でよくよく確認したもの以外は信じないという方法もひとつであろうし、また 第1247回 「即身への道〜止観」 で述べたごとく、目まぐるしく切りかわる直観としての 「場面集」 をあえて停止させる 「止観」 を試みることもまた有効な方法であろう。
 だがひるがえって、つらつら考えてみると、即身を実現するためにこれだけ 「あれこれ」 しなければならない人間にくらべて何もせずして 「すでにしてそれを実現」 している犬や猫の生活はうらやましいかぎりである。

2018.10.06


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