しかしながら、意識世界の存在であっても、過去と未来の発生現場は、今の今である実在としての現在であることには違いはない。昨年は過去、来年は未来、今の今である今年は現在である。昨日は過去、明日は未来、今の今である今日は現在である。さきほどは過去、のちほどは未来、今の今であるただいまは現在である。これらの過去と未来の違いは発生の起点である今の今から意識がたどった記憶の鮮度にかかわっている。さきほど、のちほど、で指定される過去と未来は、できたての過去と未来である。昨日、明日、で指定される過去と未来は、幾分か鮮度が低下した過去と未来である。昨年、来年、で指定される過去と未来ともなれば、賞味期限すれすれの過去と未来である。また記憶の鮮度は人によって異なるため、すぐに鮮度が劣化してしまう記憶能力の人にとっては1日が、1月に、1年に値する。
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