Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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事実は小説より奇なり〜オンリーワンの変遷
 地元紙のエッセイ欄で「ナンバーワンからオンリーワンへ」を書いたのは2000年1月のことである。
 その稿は、戦後長く続いたしゃにむに頑張る「ナンバーワンの時代」は終わりを告げ、これからは個性と余裕をもった「オンリーワンの時代」が到来するであろうとの期待を込めて書かれたものである。
 2017年3月時点である今の現状を眺めれば、確かに個性は多様化してオンリーワンが実現したかにみえるが、そのオンリーワンに余裕があるようにはみえない。それどころかオンリーワンの周辺は日増しに喧噪が激しくなり慌ただしくなっている。かえってオンリーワンが「ナンバーワン化」しているようにさえみえる。米国のトランプ大統領は確かにオンリーワンの個性をもった大統領ではあるが、その影響力は世界でナンバーワンである。
 ナンバーワンからオンリーワンへの移行を可能にしたのは情報化時代を推進した情報技術の進歩が多大に寄与したことは誰もが否定しないであろう。それはトランプ氏のオンリーワンを大統領のナンバーワンへと移行させたものが「インターネット」という情報技術であり、「ツイッタ」という情報伝達ツールであったことを考えれば素直に了解されよう。
 「オンリーワンがナンバーワンになる」ことなど「ナンバーワンからオンリーワンへ」を執筆した当時には思いもしなかったことである。 「事実は小説より奇なり」とはこのことである。

2017.03.01


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