Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
信州つれづれ紀行 / 時空の旅
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富士見高原 創造の森 彫刻公園 / 長野県富士見町
登ってはきたものの
 いちど訪れ、入り口がわからず素通りしてしまった「彫刻公園」。今度は見落とすまいと注意をはらったが、再び通過、そんなことはないと、Uターンしてゆっくりと車を走らせ路傍に目を向けていると、バリケードされた脇道にかけられた白い案内板に目がとまった。案内板にはバリケード横に設けられた扉を開けて入り、再び閉めるようにとの注意書があった。彫刻公園への入り口はそこであった。少しくだった駐車場に車を駐め、撮影機材を肩に入口に引き返し、急勾配の山道を登り始めたが、いけどもいけども彫刻公園は現れない。道に沿って鹿の進入を防止する通電線が敷かれているところをみると山麓には鹿が多く生息しているらしいが、肝心の訪問客の人影はどこにも見あたらない。おまけに「つるべ落としの秋の陽」はすでに西に傾き、季節はずれの黄砂とあいまって、あたりはしだいに薄暗くなってきた。引き返そうとも考えたが、ここまで登ってきたのであるからと思い直して登るうち、ようやくささやかな駐車場に到達した。「創造の森」駐車場である。(あとで知ったことであるが、かってはこの駐車場まで、車で登ってこれたのである。現在は落石のため、車の通行が禁止されていて、復旧の時期はいまだ未定とのことである。)
 駐車場に設けられた園内の案内板をながめながら額の汗を拭ったあと、気を取り直して、傾斜のきつい山麓につけられた草深い散策路をしばらく登ると、「彫刻公園」展望台に行き着いた。展望台といっても、カラマツ林が伐採されたわずかな空間に、小さなあずま屋がポツンとあるだけで、視界がきくわけではない。周囲には確かに目当ての野外彫刻が点在していたが、彼らがまとっていた光はすでに消えかかっており、とても撮影するどころではない。だがここまで重たいカメラを背負い上げて「何もしない」では済まされない。急ぎカメラをセットして撮ったカットが、この「暮れなずむ彫刻公園」の風情である。だが思いは次の「望郷の丘」で報われることになる。 (「望郷の丘」に続く)
※)創造の森・彫刻公園 : 国際彫刻シンポジウムで国内外から招かれた彫刻家が富士見高原で制作した50体におよぶ個性豊かな彫刻が、自然散策路のあちこちに展示されている野外美術館。
2010.11

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