未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
天を畏れる〜絶対的な威力
「蠢く闇(
第948回
)」では大集団をなす人間社会が個々では繋がっていないことを述べた。ではそのような状況下で人はいったい何をよりどころにして生きるのか?
いき尽きてとうとう最後にのこされるものとは「個としての倫理観」、しかしてそれは「天を畏れる心」ではあるまいか? その心には集団は関係しない。あるのは天と個の1対1の対峙のみである。
かっての日本人には「お天道様は見ている」という素朴ながらも自己を厳しく律する確固たる倫理観をもっていた。馬鹿なことをしていると周りの大人たちから「お天道様は見ている、そんなことをしていると罰(ばち)があたる」と諭されたものである。子供心にも「天を畏れた」のである。それはお天道様の「絶対的な威力」を心のどこかでしっかりとわかっていたからに他ならない。
翻って、現代人は天など畏れていないかのようである。はたまた天に唾するなど日常茶飯事のようでもある。 いったいその畏れをどこに置き忘れてきてしまったというのか。 その畏れなしに人間社会など成り立つはずもないではないか ・・・。
※)お天道様の絶対的な威力については「お天道様は見ている(
第766回
)」をご覧ください。
2016.07.28
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