彼女の憂いを含んだ影ある独特の表情は当時の時代背景と相まって多くの大衆を魅了した。だがその憂いをして、出場したオーディション番組「スター誕生」で審査員をしていた阿久悠から「あなたは青春ドラマの妹役なら良いけれど歌手は諦めた方が良い」と言わしめることとなる。それは当時の大衆が森昌子や桜田淳子に代表されるような明朗さを求めていたからに他ならない。少女に憂いはまだはやいということであったのであろう。さらに彼女が背負った生い立ちもまたその憂いを裏打ちしているようであったし、幼少時を米軍基地をかかえ異国風な雰囲気が漂う横須賀の街で過ごしたこともまた「彼女の風景」にひとつの物語性を与えていた。
|