その加藤もまた2009年、長野県軽井沢町のホテルで「ただ消えたいだけ」との遺書を残して自死する。死の前には安井が眠る青山墓地を訪れていたという。若き日の盟友、北山修は「自分は精神科医でありながら加藤の精神の変調を見抜くことができなかった。ただ急報を聞いて駆けつけた彼の部屋で見たものは、チリひとつなく綺麗に整頓された室内と、棚の上にポツンと置かれた“ザ・フォーク・クルセダーズの解散コンサート”で撮られた仲間との写真であった
・・」と述べている。それはあたかも加藤の墓標のようでもあり、加藤は終局において原点であった「あの若き日」に戻りたかったのかもしれない。
|