Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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夢に賭ける
 株価は2万円を越えその加熱感にさらなる拍車がかかっている。宝くじの配当率(当選金額/発券金額)はおおよそ48%であると言われている。残りの52%は主催者の取り分となる。仕組みが異なるので軽々には比較できないが、競馬における主催者の取り分はおおよそ25%、パチンコはおおよそ10〜15%と言われる。宝くじは競馬やパチンコとは趣旨が違うと言われそうであるが、仮に賭け事と考えれば、その勝率は驚くほどに低いということになる。巷間よく言われる「それは宝くじに当たるような話だ」という比喩がそれを能弁に語っている。
 株式は投資であって賭け事である宝くじや競馬やパチンコと同列に論じることはできないとの主張もあろうが、「資本主義が終焉」(第815回参照)したと言われる現代社会の状況を鑑みれば、その説得性には疑問符が付いてしまう。様相は限りなく賭け事に近づいているのである。
 であればその配当率とはどの程度なのであり、その興業の主催者とはいったい誰で何処にいるのであろうか・・?
 以下蛇足ながら付け加えると・・株式や宝くじや競馬やパチンコには「夢」があるとして「私は夢に賭ける」と自負する人もいる。夢の主催者とは即ち「自分」であり、しかしてその勝率は夢の大小に応じてそれぞれ千差万別である。そもそも賭ける当事者もまた「自分」なのであるから配当率は100%である。これで賭け事と言えるのかとなるが、夢の実態とはそのようなものであって、資本主義も、経済原理も、そこには成立しないのである。もしもあらゆる矛盾が解消された純粋経済学(仮称)というものがあるとするならば、あるいはそのようなものなのかもしれない。

2015.04.23


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