この世の成否が「人間の欲」と「宇宙の理」の対決構造に還元されることは「宇宙の理をまとう者(第802回)」で述べた。この対決構造はまた「経済」と「科学」の対決構造に置換される。経済学とは多く人間の欲について研究したものであり、科学とは多く宇宙の理について研究したものである。今や経済学の隆盛はめざましく他の追随を許さない。哲学も文学も芸術もまたたくまに経済学に飲み込まれていく。それはあたかもブラックホールのごとき貪欲さであって、まごまごすると科学さえ飲み込む勢いである。 「一将功成りて万骨枯る」とは言い得て妙である。