第 630回 で思考した逆因果律について再度考えてみる。従来型の因果律では時代に対処できなくなってきたのであろうか、最近はこの「逆因果律考」へのアクセスが日増しに多い。
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逆因果律とは未来が原因で過去が結果という時間を逆にした因果律である。未来に成した結果によって、過去に成した原因の意味が変更され得るとすれば、未来を原因と考え、過去を結果とすることが可能となる。
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人はその人生観において過去は絶対的に変更不能ということを信じて疑わない。ゆえに過去の失敗は取り返しがつかない。だが「人間万事塞翁が馬」という諺のごとく、その失敗があったがゆえに未来において何事か成功したとき、過去の失敗は取り返しがつかないどころか必要不可欠な失敗となる。
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つまり、未来に成す何事かに依って、過去に成した何事かを変更しうる。 |
過去が未来において変更可能であるとすれば、未来の意味は大分変わってくる。可能性に賭ける人生とは、この未来を原因化する人生である。9回裏2アウト満塁3点差、ここでホームランを打てば過去の失敗は成功に転化する。この一発逆転を目指してヒーローはバッターボックスに入るのである。
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勝負は下駄を履くまでわからないのであって、物事は終わりよければすべてよしなのである。
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