Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知のワンダーランドをゆく〜知的冒険エッセイから
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光速度と心速度
 光速度は30万Km/sであり、ざっと1秒で地球7回り半する速度である。
 物質宇宙ではこれを越える速度が存在しないことが、アインシュタインの相対性理論の根拠であり、この光速度が物質宇宙の特異点である。この光速度を越える存在が実証されたとたんに、現代人が確固たる存在であるとする物質宇宙は崩壊する。
 しかし、意識の速度(仮に心速度と称する)はこの光速度をかるく突破する。というよりは心速度は無限大であると言える。いくら離れている空間へも意識は瞬時に到達するように観える。
 速度が無限大という状態を還元すれば、速度の概念を構築する「時間」が存在しないということでもある。速度とは移動距離を移動に要した時間で割り算したものであり、速度が無限大ということは移動に要する時間が0であることを意味する。 つまり、時間が存在しない。
 これは歴史作家、司馬遼太郎氏の歴史認識と同質であり、時系列で「連なった歴史空間」ではない、同時系列で「重なった歴史空間」の構造を意味する。
 つまり、意識宇宙には過去も未来も存在せず、現在という世界に一体的に重なって存在している。さらに、速度が無限大とは、意識宇宙には遠い近いという距離感が存在しないことを意味する。
 それは宇宙には「大きさ」という空間概念は存在せず、「仕組み」というシステム概念のみが存在するとした 「Pairpole宇宙モデル」の帰結に近づいていく。
 以上を統合すれば以下のように還元される。
 意識宇宙には過去も未来もなく(つまり、時間がなく)、ただそれらが重なった現在だけがある
 意識宇宙には遠い近いもなく(つまり、空間がなく)、ただそれらが重なった仕組みだけがある
 光速度を基本とする物質宇宙は時系列で連続しており、心速度を基本とする意識宇宙は同時系列で重層している。 物質宇宙とは、「同時系列で重層している意識宇宙」から瞬間、瞬間 と次々に我々が認識できる「形」で、現実と呼ばれる世界に象出した「場面」で実在場が構築され、この瞬間場面が連続することにより、我々に時間という概念を発生させ、結果として「時系列で連続した物質宇宙」を意識構成させることで存在している世界なのかもしれない。
 この構造は物理学者デビット・ボームが言う「宇宙の暗在系と明在系の構造」と同質である。
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