Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知のワンダーランドをゆく〜知的冒険エッセイから
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機会利益の争奪戦が語るもの
 第760回「機会利益と機会損失」を書いたのは2013年9月12日のことである。その内容を述べると以下のようである。
 機会利益とは機会に遭遇することで得る利益とでも直訳できようか、その反対は機会損失である。今日本は2020年東京オリンピック招致に成功した高揚感の中にある。勿論、招致に成功したことによって発生する機会利益と同様に、招致に成功したことによって発生する機会損失もまたある。どちらを捉えるかは各々の立場や視点によって異なる。だが物理学の根本的法則である「エネルギ保存則」からすれば物理的エネルギ量は両者ともに同じであろう。違いがあるとすれば「気分」である。例えて言えば、この人と結婚して得た機会利益と、失った機会損失は「気分の違い」というわけである。
 現代の経済学はかかる「機会利益」の争奪戦である。抜け目なくその機会を狙い、いち早くその収奪に動く。その争奪戦は昼夜を分かたない。今ではその争奪戦の本質は情報戦にありとして、インターネットをはじめとする情報技術を駆使してコンピュータの眼を四方八方に放ってその探索に余念がない。
 だが「機会利益と機会損失」で述べたごとく、機会利益の裏には同等の機会損失が含まれていることを忘れてはならない。得た利益と同量の損失が隠されているのである。今、問題となっている東芝の原子力事業において発生した多額な損失などを鑑みればそれは明らかであろう。事象を客観的公平に考えるならば、機会利益を血眼で探すがごとく、機会損失もまた血眼で探すことが必要である。世に血眼となって機会損失を探す人はそう多くはいないであろうが、得られた教訓を活かすとすれば、道はそこにしかない。
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