Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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近未来風景の既視感
 世界は今や戦争や経済での物質的崩壊にとどまらず精神的崩壊の危機に瀕していることは第1050回「あてにならない世界」で述べた。 地球は球形の荒野になってしまうのか? そのような近未来の姿を第765回「マッドマックス」では以下のように描いている。2013年9月27日のことであった。
 社会から人間に対する信頼感が失われつつある。この流れは経済の発展と逆行しているようにみえる。経済が発展すればするほど人間から信頼感が消えていくことはどうしたことか ・・? かって人間には使命感があった。使命感とは「信義に応じてそれを為さなければならない」とする強い意思である。日本は今、経済的低迷から脱出しようと懸命になっているが、見据えるものは金銭的価値観に応じた経済的合理性のみのようにみえる。このまま行くと都会は「東京砂漠」のような ・・ 田舎は「マッドマックス」のような ・・ 無機質で虚無的な殺伐たる風景に満たされてしまうのではないかという既視感にさいなまれる。
※)マッドマックス : 1979年公開のオーストラリアのアクション映画。主演のメル・ギブソンはこの作品で世に出た。ストーリーはともかく作品の背景として描かれた近未来社会の風景が強烈な印象として脳裏にのこっている。世界規模の大戦争が勃発して文明は崩壊。宇宙進出をめざすなどとした人類の近未来の想像を根底から覆す「殺伐とした描写」は世界各地に衝撃を与えた。
 無機質で虚無的な殺伐たる近未来風景の既視感は当時よりはさらに現実の風景に近づきつつあるように観えるのは私だけであろうか?

2017.05.16


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