Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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球形の荒野
 科学哲学エッセイ「 Pairpole 」(1999年刊行)で私は ・・ 現代社会は水平的地域として「東京砂漠」であり、垂直的歴史感情として「傷だらけの人生」であり、それらが覆う地球は「球形の荒野」である ・・ と書いた。それは20世紀末のミレニアム(千年紀)のことであった。それから18年の歳月が経過したことになる。
 「球形の荒野」とは松本清張の長編推理小説(1962年刊行)の題名で映画化もされている。それから数えれば55年の年月である。地球は球形の荒野なのかを問うた松本清張の鋭敏な直観は今にして現実のものになろうとしている。それは近代科学文明がもたらした自然環境破壊の現状であり、加速する経済のグローバル化がもたらした格差社会による精神の荒廃と対立の様相である。 我々は球形の荒野の片隅に生きるしかすべはないのか? 新たな地平はどこにあるのか? 立ち尽くす明日である。

2017.05.14


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