例えて言えば、それはちょうど浜辺にうち寄せる波のごとくであり、我々は現在という浜辺に立っている。海は宇宙全体でありすべての秩序が内蔵されている。だが我々はその内蔵秩序の姿や形を知覚できない(彼はそれを暗在系と呼ぶ)。その全体宇宙から、瞬間、瞬間、波が押し寄せてくる。その波がうち寄せることで我々は波を現実として知覚でき「宇宙存在を実感」する。だがいったん浜辺にうち寄せた波は再び全体宇宙へと戻っていく。そのときにいったん浜辺にうち寄せたことで現実の世界に顕した情報もまたその波の中に含まれて全体宇宙に戻っていく。ゆえに全体宇宙にその情報が含まれる(つまり、注入される)。注入された情報は次に全体宇宙からうち寄せられる(つまり、投影される)波の形などに影響を与える。彼は宇宙全体の投影である現在を運動としてとらえる。その運動が現在という世界に事物を実在化するのである。その実在化運動が継続することにより時間軸が発生し時の経過を我々の意識に感じさせるのである。
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