未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知のワンダーランドをゆく〜知的冒険エッセイから
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あこがれが消えた街
かって世界は「あこがれ」に満ちていた。東京は「花の都」と呼ばれ、人々はその「あこがれの都」をめざした。あこがれの東京が飽和すると、今度は、あこがれの「花の都」がパリとなり、ロンドンとなり、ニューヨーク ・・ となっていった。 そしてとうとう、めざすべき「あこがれの都」が見あたらなくなってしまった。現代人の閉塞感は、そこから発生している。
あこがれとは甘酸っぱくもロマンに満ちたものである。今、あこがれを胸に秘めた若人はどのくらいいるのであろうか ・・? あこがれが消えた街とは、華やかではあっても廃墟のようであり、あこがれが消えた野とは、美しくはあっても砂漠のようである。
文 /
柳沢 健
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