未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知のワンダーランドをゆく〜知的冒険エッセイから
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社会学的不確定性原理
量子世界を描いたハイゼンベルクの「不確定性原理」とは、量子の「位置」と「運動量」の2つを同時に高い精度で確定することはできず、片方の精度を上げようとすれば、もう片方の精度が下がってしまうという原理である。
社会学的インフレーション理論では、コンピュータをもととした情報化技術の飛躍的進歩が意識社会を急激に膨張させることについて考えた。この意識社会の急激な膨張変化はさまざまな社会的現象(事件)を頻発させるが、今では発生した現象の意味をその時点で正確に確定することが難しくなっている。事態の変化が速すぎて、とらえた情報がその時点ですでに陳腐化してしまっているのである。テレビのワイドショー番組(現在では情報番組と呼ぶのであろうか?)でさえ、めまぐるしく変化する情報について行くのがやっとの状況である。
社会はニュートンが描いた絶対的な世界観からアインシュタインの相対的な世界観を経て、今やハイゼンベルグが描く「不確定性原理が支配する量子論的な世界観」に移行しているように見える。
文 /
柳沢 健
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